新年
山里の初日の出は、ほんの近くの山から元気に上って来られた。
正月と言えど、華やかな色合いは見えず、晴れ着どころか、人の行き交う姿も見えぬ。
ふだんと変わらぬ里の景色であるが、1月1日、山からポンと出たお日さんは、
里のみなさん、新年です、めでたいです、と晴れやかにまぶしい輝きを撒き散らされた。
山里の冬は厳しい。
ついつい戸を閉ざし、うずくまってしまう。
けれど、のそのそと這い出して覗いて見れば、軒のつららをお日さんがキラキラとポトポトと溶かし、
馬酔木の小さな蕾がチビチビとふくらみ、椿もポッチリと赤い舌先を見せている。
シャクリシャクリと霜柱を踏めば、林からチ、チ、チと鳥の声。
今の時期の鳥たちは歌がへたくそで、だいじょうぶか?風邪引きか?と問うてやる。
もうちょっと練習しなくてはなぁ。
やがて、やがて、春が来る。
執筆者名 前中和子(詞▪書▪写真キャプション) 前中和子のBlog